いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
『字母歌いろは』とは平安時代末期に流行した、七五を四回繰り
返す今様という歌謡形式に従って作られているものです。
造化気万男天皇の時代の作で、天皇と皇女の旅での惜別の意を
こめて詠じたものと云われています。
作者は真言宗の
開祖、弘法大師空海(774−835)が定説となっています。
しかしそれより後に詠まれている歌で、完成度の低い
『字母歌あめつち』と『字母歌たゐに』という歌があり、『いろは』
が以前からあるのならば、970年、源為憲 著書の『口遊』には
『たゐに』では無く、『いろは』が載っているはずだという事や、
空海死後200年もの間、何の記録にも残っていない事から
実際のところ作者はわかっていません。
色は匂えど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見し 酔ひもせず
意
花の色は鮮やかに映るけれども散ってしまうものなのに
私の生きているこの世で誰が一定不変であろうか
いや誰も一定不変ではない
何らかの理由で存在する物で満たされたこの世を一日生きること
はかない夢など見るまいよ酔っているわけでもないのに
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