御飯に箸を突き立てるのは死者に供養するスタイルで一膳飯や枕飯 と呼ばれ、あの世に行っても御飯に不自由しないようにという死者 の専有物であると思われています。
そしてまた、現代に 使おうならば縁起でもない、マナーが悪い事とされています。

じつはこのスタイル、平安時代には御飯を供する正式な作法でした。
当時の絵巻物にも、高く盛ったおこわに箸を突き立て食している 風景が残っています。
宮中を始めとした上級階級はもち米を蒸した おこわを食べ、一般民衆は米を炊いた粥を食べていました。
粥は高く盛る事も箸を突き立てる事もできず、御飯に箸を 突き立てることは『自分は粥ではなくおこわを食している』 ということを表していると考えられます。

現在、一膳飯・枕飯は今こそおこわではないのが普通だが、 高く盛って箸を突き立てる作法は死者に対してのみ残っており、 縁起が悪い事として今に残っています。

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